シカと狩猟を考えるシンポジウムでのイベントの紹介です。

さて、講演会です。


この写真は、シカの食害にあった畑の物です。
今回のシンポジウムでの講演会は、ニホンジカの問題と、狩猟の中でも銃について、です。

いずれも、実に興味深い内容です。

演目は2題

①「ニホンジカの生態とその管理の難しさ」
13:10~14:20
 :高槻 成紀 氏 (麻布大学獣医学部教授)


②「江戸時代の鉄砲管理から鳥獣被害を考える」
14:50~16:00
 :荒垣 恒明 氏 (東京工業高等専門学校講師)





①は、日本の Wildlife Management(※1) の草分け的存在の高槻先生による講演です。
 1978年東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。
 東北大学助手、東京大学助教授、教授を経て、2007年より現職。
 専攻は野生動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。
 カモシカ、クマを始め、国内に留まらず世界の大型草食獣や草原の生物多様性の研究にも取り組んでいる他、里山の動物、都市緑地の動物などについても調査を実施している。

 著書に
 「北に生きるシカたち」(どうぶつ社)
 「歯から読みとるシカの一生」(岩波書店)
 「野生動物と共存できるか」(岩波ジュニア新書)
 「シカの生態誌」(東大出版会)
 「野生動物への2つの視点」(ちくまプリマー新書、共著)等

 以前お話しをうかがった事があるのですが、ニホンジカに限らず、草食獣が如何に環境に影響を与えるか、というお話しでした。
○ モンゴルの草原での放牧で、多様性がどれだけ下がるか。
○ 小笠原諸島の北部を形成する聟島列島での野生化したヤギの保護管理。
 といった内容が衝撃的な映像やデータから示されていて、かなり興味深かった事を記憶しています。
 日本での保護管理の黎明期から携わってこられた氏の話は、とても楽しみです。


②は、歴史的な観点から農業や狩猟を調べていらっしゃる荒垣先生による講演です。
 1968年生まれ。
 中央大学山村研究会の中心的人物で、山梨県早川町ならびに長野県栄村秋山郷などの山村地域を中心に歴史的な視点から精力的に調査を行っている。
 専門は戦国時代・江戸時代の鉄砲文化。
 中央大学、成城大学、国立東京高専などで非常勤講師を勤める。

 戦国時代の日本は、世界有数の軍事国家だった(鉄砲の保有数)のですが、その後の江戸時代は鉄砲の数も減少し、平和な抑圧された時代となりました。自然と共生していたと言われる江戸時代ですが、鳥獣害の深刻さは凄まじく、餓死者を出すほどであったという事です。イノシシ飢饉があったと伝えられています。
 野生動物と対峙するときに、最も有効な道具である"銃"がどのような変遷を経たのか、実に興味深いです。


※1
Wildlife Management : 野生動物保護管理(野生種を望ましいレベルで維持するための手法)
 保護管理なのでよく誤解されるのですが、けして保護(Protect)ばかりではありません。元々の意味は"管理"ですし、ライチョウの様に保護する物と、ニホンジカの様に管理する物の両方の意味がある事から、日本語では"保護管理"があてられています。アメリカで1930年頃から始まった手法で、林業家が取組んでいる事から当時は生息地の管理がメインだったようです。  

Posted by 長野県野生鳥獣対策室 at 09:00Comments(1)TrackBack(0)
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